ケーススタディの2−すべてがFになる

10年以上も前のものになったけど、よく符合する。
相手が人間ではなくて、データベース、プログラムになる可能性はさすがに想定しえなかったかもしれないにしても。

仮想現実の技術の問題点は何だとお考えですか?


(中略)


現在は、主として三つの障害があります。第一に処理系のハード的な力不足、第二に、人間にそれを受け入れる用意があるのかという道徳的な問題、そして第三に、受け入れたあとに現れる生物的な未知の影響です。(中略)第二の問題は、深刻ですが、それでも、さきほどの話と同様に、生まれながらにバーチャル・リアリティの環境で育つ世代には受け入れられるでしょう。


(中略)


そんな未来にあって、建築とか都市はどのように変貌するでしょう?(中略)物質的なアクセスはなくなりますか?


(中略)


そうね、おそらく、宝石のように贅沢品になるでしょう。他人と実際に握手をすることでさえ、特別なことになる。人と人が触れ合うような機会は、贅沢品です。エネルギィ的な問題から、そうならざるをえない。(中略)人間も電子の世界に入らざるをえません。

森博嗣 すべてがFになる p.19-21

すべてがFになる (講談社ノベルス)