「『ゲーム中毒者と高機能自閉症の類似性』研究」について

この際ついでにこれもまとめて。

4月3日(現地時間)に、英国心理学会の年次会議で発表された研究結果によると、ビデオゲーム中毒の兆候がある人は、高機能自閉症の一種であるアスペルガー症候群の患者と同じ性格特性をいくつか示すという。

(略)

調査では、ゲーム中毒の傾向が強い人ほど、通常アスペルガー症候群の特徴とされる3つの性格特性――神経症的傾向、同調性の欠如、外向性の欠如――を示す確率が高かった。つまり、ビデオゲームばかりしている人は、1つのことにとらわれやすく、内向的で、人付き合いが苦手な傾向にあるということだ。まあ、当たり前といえば当たり前の結果だ。

(略)

Charlton博士らは、ゲーム中毒も自閉症の一種だと示唆しているわけではない。ただ、一旦ゲームを始めるとなかなかやめられない人は、「エンジニアや数学者、コンピューター科学者」と同様に、「他人に感情移入せず、物事を体系化することを好み、自閉症スペクトラムの末端にいる人たちに近い」存在だと述べているに過ぎない。少なくとも、かなり頭のいい人たちと同類ということは確かだ。

http://wiredvision.jp/news/200804/2008040921.html

えーと、アウアウ?という話ではなくて、ちょっと追ってみた。
WIRED VISIONの翻訳はときどきヘンなものもあるけれど、これの訳註はナイスフォローかもしれない。

[自閉症は症例が多彩であり、健常者から重度自閉症者までの間にははっきりとした境界がないため、その多様性・連続性を表した概念図を自閉症スペクトラムと呼ぶ。なお、自閉症スペクトラム指数の調査結果から、自閉症は「極端な男性脳」と関係があると主張する学者もいる。]

http://wiredvision.jp/news/200804/2008040921.html

ファーストオーサーのDr. John CharltonはイギリスBolton大学のComputer & Cyberpsychology Research Unitという所の3人のスタッフのうちの一人。(ソース)
まだペーパーにはなっていないようだし何とも言えないな、と思って調べたらフォローアップ記事が出てた。

こちらを見ると結構主旨が違ってくる。

c)アスペルガー症候群を挙げたのは、われわれが検証した依存と性格の特徴の関係が、このゲームの種類とアスペルガー症候群の人々の心理学的性質の特性を考えると、(MMORPGが)アスペルガー症候群の人々に対し特に高い依存性を示す可能性があることを示唆したということである。

http://japan.gamespot.com/news/story/0,3800076565,20371225,00.htm

最初のWIREDの記事のソースは学会のプレスリリースのようなんだけれども、一体どこでこんな転倒が起こったんだろう。
学会発表(のプレスリリース)だからといって、あまりにも煽りを入れすぎるのはどうしたものか。